第153章

久世直哉は沈黙した。

自分も医者だ。薬の文献にも目を通してきた。だからこそ「蛇蘭」がどれほど希少か、ほとんど絶滅宣言まで出ている薬草だということも知っている。

蛇蘭は生育条件が異様に厳しい。しかも生えるのは断崖絶壁ばかりで、昔から採取の難しい生薬として知られていた。

それが近年、大規模な都市開発と環境汚染の影響で、一度は壊滅的に数を減らした。

いま国の保管庫をひっくり返したところで、見つかるのはせいぜい蛇蘭の標本が一つ――その程度だろう。

だが蛇蘭の厄介な点はそこにある。多くの生薬は乾燥させることで薬効が凝縮され、驚くほど効くこともある。ところが蛇蘭だけは、生きた株のまま用いなけれ...

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